春の花見酒、冬の雪見酒と並び、酒呑みの風物詩といえば、秋の月見酒。
日本では平安時代からすでに、月を愛でながら和歌を詠み、酒を楽しむ、という風習があったそうです。
酒と一緒に「夜露のついたもの」を食べると、長生きする、という言い伝えがあります。そのため本来は、外で行うものなのですが、室内で窓越しに愛でる月もまた、一興です。
今回は月見酒にぴったりな、おすすめの日本酒をピックアップしてみました。
月見の季節が飲み頃!秋限定のひやおろし
「ひやおろし」とは、春にできた新酒を貯蔵・熟成させ、秋から冬にかけて出荷するお酒です。酒造によっては「秋あがり」、とも呼ばれています。
日本酒は普通2回の火入れ(加熱殺菌)を行います。
しかしひやおろしの場合は、熟成前に1度だけ火入れをし、出荷の時は火入れをしません。
生(ひや)で瓶詰めすることと、暑さが和らぐ季節に出荷されるため、「ひやおろし」と呼ばれるそうです。
夏の間熟成させることで、甘みと旨みを増し、まろやかな味わいになります。秋刀魚や里芋など、秋の味覚との相性は抜群です。
ちなみに、私のイチオシのひやおろしは・・・
宮城県の酒造「浦霞(うらかすみ)」の、「純米特別 ひやおろし」です!
米の甘みと、濃厚な旨味が口の中に広がり、あとからフルーティーな酸味がほんのり。脂ののった秋刀魚と合わせたら、もう最高!
秋刀魚の脂をさっぱりと流しつつ、お互いの旨味を引き立ててくれます。
毎年出荷前に予約完売してしまうので、かなりレアものの日本酒なのですが。
その他にも全国の酒造自慢のひやおろしがあります。
しかし出荷は秋のわずかな期間のみで、出荷本数も限られています。手に入れたい場合は、夏の間に、酒造・酒屋のサイトなどで出荷時期などを調べ、早めに予約をしておくのがおすすめです。
今はネット予約ができるサイトも増え、日本酒好き・限定品好きには嬉しいですね。
ラベルで楽しむ月の満ち欠け
石川県の「酒造・加越」では、「加賀の月」という銘柄の日本酒を出荷しています。
この「加賀の月」には名前の通り、月を描いたラベルが貼ってあるのですが、そのデザインがとてもユニークで美しいのです。
「酒造・加越」では現在、5種類の「加賀の月」が出荷されています。
- 本醸造「三日月」
- 純米「半月」
- 純米吟醸「満月」
- 山廃純米吟醸「琥珀月」
- 純米大吟醸「月光」
精米歩合や熟成の度合いによって、その名と同様に、ラベルの月が満ち欠けしていきます。夜空を表現する、ラベル地の色も、それぞれ微妙に変化しているんです。
たとえば、純米大吟醸「月光」。
煌々と照らす月の光を表現していて、黒地に明るい色の満月が美しく映えます。
「月見酒したいけど、あいにくの空模様・・・」
そんな時はラベルに描かれた月を愛でながら、美味い肴とともに一杯、なんてのもいいですね。
私は「加賀の月」を初めて見た時、「ボトルを並べてコレクションしたい!」とすっかり惚れ込んでしまいました。
「全種類、大人買い!」・・・は、さすがに無理ですが・・・
計画は密かに(?)じわじわと進めています。
もちろん、ラベルだけじゃなく、中身も存分に楽しみますよ(笑)。
十五夜の満月はもちろんですが、徐々に満ちていく月、欠けていく月、どちらも趣があって美しいものです。
今年の秋はこだわりの日本酒を用意して、ちょっと贅沢な月見酒を愉しみませんか?